レコード

 

 

 暮らしは電子化していく。写真は画面で見るようになったし、音楽は小さな機器に詰め込むものになった。友情だって、全てネット上で見て取れる。そこに「存在した」はずのものが「データ」になってゆく。「ある」のは変わらないのに、「形」だけがなくなっていく。一見シンプルや、スリムになってるように思えて、実はその逆なのではないかと思う。一人が扱うデータ量も多くなり、しかもそのデータは媒体上にあり、それらひとつひとつが込められた「モノ」はない。雑念のように空間に浮遊するデータらを完全に掴み取ることなど到底できない。その煩雑さに私たちはどこか疲弊しているように思う。だから、データと「モノ」が一体化してあることは魂が体に入っているように、自然なことでしっくりくる。

 

その中でもレコードは特別である。

CDをほとんど買わない私は、レコードの魅力に惹きつけられつつある。データが記録された「媒体」と、物理的に音が刻まれている「モノ」というのは大きく異なる。目に見えない「曲」自体が手に取れる「モノ」になるというのは一周回ってすごいことのような気がする。だからきっと、今でもレコードはしぶとく息をしているし、これからも消えることはないと思う。だからと言って私はプレイヤーすら持っていないにわかなのだが、レコードが好きな人はそういうところが愛しくてたまらないんだろうな、と思う。