これは、今から3年くらい前のこと。
わが家で友達とあるアニメを見ていた時の話。
私も友達もわんわん泣いてしまって、なんだか、そんな作品だったんだ。
終わったあとに、私はいっぱいいっぱいになって、また「気づき」とか「感想」を述べようとしたんだよね。
そしたら彼女が、ぐすぐすしながら、
「ねぇ、美人、しゃべらないで。
言葉は万能じゃないの。
言葉ですくってしまったら、
それは、それになってしまうんだよ。
言語化することは時に陳腐にしてしまうんだよ。
だから、言葉を大切にして。」
って言ったんだよね。
私、びっくりしてしまって。
だってその時まで私、「言葉が万能じゃない」なんて、思いもしなかったから。
とても傲慢なのだけど、私は全てを言葉で表せると思っていたし、発する前に言葉を選ぶなんて、したことも無かったんだ。
おぞましいね。私はその日から「言葉」について考えるようになった。海みたいに広がる中から、すくいとることが、言葉にするってことなんだ。
フラれた理由とか好きな理由とか、そういうものを理詰めで考える馬鹿らしさにもやっと気がついた。当時の私は理詰めで会えなくなった人の事を追いかけていた。
言葉は万能じゃない。
いくら言葉を尽くしても、私たちには伝えられないものがある。その謙虚さが、言葉にするってことなんだよね。万能じゃないけど、私は伝えることを諦めたくない。たゆたう水の中からなるべく正確に丁寧にすくいたいとおもっている。
あの夜がなければ、私はこんな風に「書く」ことも無かったし、「言葉にできないものがある」という考え方は、いろんな場面で私を助けてきたと思う。
いい友達に出逢えてしあわせだな。
ありがとう。