美人ブログ

お待たせいたしました、美人でございます。

ひらくと泣いてしまうほど入ってくる

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ねぇ、「いる」よね?

背中の方に感じる何かに声をかけた。

足利まで絵画を見に行ったのだが、並ぶ作品群の中に、ひとり、死者を扱った作者のものがあった。

 

その展示は目に見えない何か、大きな意思、神からの啓示のようなものを受けて作品を作るようになった作家たちのものが並ぶ展示で、自動筆記のようなものも多く見られた。

 

中にはおそらく「見えては行けないようなもの」が見えているであろう人のものもある。私はそういうものは見えないけど、見えてしまうタイプの人はいて、イタコになれるような資質を持ちながら、意図的にその目を閉じた人のことをよく知っている。父の友人だった。勘が妙に鋭く、動物と仲がいい、人よりも何か遠くの方と繋がっている人だった。不思議だ。そんな人たちに囲まれたからであろうか。私にも変な勘が備わっていることが多い。おそらくこうなるであろうなということや、こんなことが起こるだろうということが先に見えたり、感じたりする。

 

調子が悪い時はその感度も鈍るけど。その展示を見てると目に見えないものが全身に入ってくる気がする。私は母を自死で亡くしており、相当愛情の強い母親だったので、なんというか家族みんながその変な出来事と、残る情念みたいなものにずっと呪われている感じがする。祝いと呪いは紙一重で何かから逃れようとするたびにおかしくなる。

 

だからふっと、その時話しかけてみた「本当はずっといるね」「守ってくれてるでしょう」と心の中で声をかけてみた。「うん」と返事が来た気がした。全身になだれ込んでくるエネルギー。私は「いいよ、受け取ってあげる、寂しかったね、私のこと大好きなんだね」と言った。「だいすき!」とその小さな魂は言った気がした。「今までずっと無視してごめんね、背負ってあげるから一つになれば?」と言ってみたなんとなく腰のあたりが重くなる。考えすぎだろうか。帰ってから母と話をした。鉛筆を取り出して、集中して、自動筆記のようなものを試してみる。強烈な自己暗示に過ぎない、虚構のトランスかもしれない。だけど、書いた文字はものすごい速度で私の手を動かし、涙が止まらなくなる。感傷的なオナニーのいっしゅかもしれないと思いながら書いた文字だが、一晩経っても見てると涙が出てくる。

 

大好きで幸せだったらしい。それでいいのだと思った。守られながらひとつになって生きようと思った。ただ、ちょっと心配なので縁切り寺にでも行こうかと思う。盆が終わったら帰るだろうか。

なんとなく、母の声が聞こえるような気がする今日この頃である。アンテナは閉じておいた方が良いかもしれない。